珠緒: |
こんにちわ〜…
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獏迦瀬: |
あれっ!珠緒さんじゃ〜ないですか。どうしたんです、めずらしい…。
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珠緒: |
どうしたって、獏迦瀬くん、キミこそ何してんのよ、こんなとこで。
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獏迦瀬: |
はぁ…、ボクは店番を頼まれてるのです。伊丹堂さんはなにやら京都の方に古本を買い出しに行くとかで。 |
珠緒: |
ふうん…なんだぁそれじゃ伊丹堂さん留守なんだぁ。
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獏迦瀬: |
はい。ほんとは店開けてとく必要もないんですが、ここ落ち着いて本が読めるので、ボクが押しかけで店番してるだけなんスけどね。 |
珠緒: |
へぇ…それじゃ読書の邪魔しちゃ悪いから帰ろかな…。
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獏迦瀬: |
あ、いえいえ、せっかく来たんですから! なんか見てってくださいよ〜。それにちょうど先週、ここで珠緒さんのウワサしてたとこでした。
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珠緒: |
ウワサ?なにそれ。
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獏迦瀬: |
あ、いやその、菅野美穂さんがどーしたこーしたっていうか(赤面)。
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珠緒: |
なにワケ分かんないこと言ってんの…。でも、いいわねぇ伊丹堂さん、京都だなんて。春の京都…行きたいなぁ。
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獏迦瀬: |
ボクは修学旅行で行きましたが、やはり「哲学の道」ですか。
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珠緒: |
あ、そうそうその話をしに来たのよ。キミ、中沢新一の『フィロソフィア・ヤポニカ』って本(集英社)読んだ?
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獏迦瀬: |
ああ、中沢しんいちですか…。そういえばそんな本が出たというのは聞いてましたが、…中沢さんはねぇ、ちょっと。
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珠緒: |
まぁそれはともかくとしてよ(笑)、この本、いわゆる「京都学派」の忘れられた哲学者・田辺元(たなべはじめ)さんの思想を現代に蘇らせようって感じの本なんだけど、それこそ中沢さんの解説はともかくとして、この田辺さんにはメチャクチャ興味あるわ〜。
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獏迦瀬: |
田辺さんって同じ「京都学派」の西田幾多郎さんの弟子?というかライバルみたいな人ですよね。たしかに「京都学派」といえば、というより「日本の哲学者」といえば西田幾多郎っていうくらい西田幾多郎が有名なのに対して田辺さんの名前はそんなに知られてないと思いますが、そんなスゴイ人だったんですか。
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珠緒: |
っていうか、まだ中沢さんの本でしか知らないから(笑)、なんたって「忘れられた哲学者」だからね、文庫本なんかにはなってないわけよ。伊丹堂にならなんか置いてあるかと思って…。
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獏迦瀬: |
そうですか…。この店の本はだいたいいつも背表紙は眺めてるんですが、田辺さんの本というのは記憶にないですね。あるとしたら全集みたいなもんでしようから、すぐ目に付くハズですからねぇ。
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珠緒: |
そう…残念〜っ。たぶん大学の図書館にはあると思うんだけど、実ハ、ついでに伊丹堂さんにご意見を伺えれば、なんて思ったのよ。というのも、その田辺さんの考えてるコトって、ここで伊丹堂さんが言ってるコトになんか近いような気がして。
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獏迦瀬: |
えっそうなんですか? そう言われると、ボクも興味湧いてきますね。それにちょうどこのところ、「倫理」のことが話題になってるもんですから、西田幾多郎の『善の研究』を読んでるところだったのです。
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珠緒: |
中沢本も三分の一は西田ね。この二人を対比することなしに田辺さんの思想を語ることはできないんでしょうから、当然かもしれないけど。 |
獏迦瀬: |
そういえば、田辺さんと西田さんの思想的対立のことは大澤さんの『戦後思想の空間』(ちくま新書)で「近代の超克」論に関連して触れられてました。…これですが。
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珠緒: |
ああ、ひるますさんがなんか書いてた…。じゃそれ貸してよ。この中沢本貸したげるから。
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獏迦瀬: |
ええっ?いいんですか、こんな新刊本(泣)。ではさっそく読ませていただきます。ではこれを…。
(店の商品を勝手に貸し出す獏迦瀬であった:以下次回!)
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ワタシはさっそく初日に行ってきました。まぁ身びいきに聞こえるでしょうが、今回の作品群、そうとうよかった。ところで「書」というもの、ワタシまったく無知ながら、池田さんの作品は非常に楽しめました。そういや、去年の暮、たまたま立ち寄った書の展示会で、とあるおじいさん(失礼!)のセンセイに、いろいろと解説していただいて、なんとなく書の見方?みたいなものが分かってきた気がするのだ。ようするに「書」ってのは、「コト」じゃないでしょうか。単なる静止画(抽象画?)として鑑賞するのではなく、イメージ的(絵画的)な断片的部品によって創り出される<文字>の中に、「意味の生成」を読みとりつつ(むろんそれは漢字の意味というような辞書的なものを言ってるのではなく、作者の発見としての「意味」であり「世界」ってことだが)、それをまた1枚の紙の平面の中に「静止的時間」としてギュッと詰め込んで観る。『文脈病』で斎藤環さんが「顔とは文脈である」と言ってるのを思い出すが、書もまた文脈=コトワリだと言えるのかも。そういうコト的な見方が面白いって感じ…(ド素人のタワ言につきお聞き流しを)。
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獏迦瀬: |
や〜、お疲れさまです。ずいぶん長いご出張でしたね。
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伊丹堂: |
ウム。実ハ向こうでちょいとした事件があってな。…新聞にも載ったじゃろ、あの連続猟奇殺人。それで足止めを食っておったのじゃ。
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獏迦瀬: |
はあ、そんな事件ありましたっけ。で、犯人は捕まったんですか?
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伊丹堂: |
まあな、ワケあって世間には公表されないじゃろうが、ワシがちと手助けしてやって、一応の解決を見たよ。
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獏迦瀬: |
ちょちょっとぉ、京極堂ですか、それ?? |
伊丹堂: |
それを言うなら山村美沙じゃろ(笑)。京都古書肆連続殺人事件じゃ。 |
獏迦瀬: |
勝手に殺さないでくださいね…。ところで、お留守中、珠緒さんが来て、京都学派の田辺元さんのことで聞きたいと言ってましたよ。この中沢本で興味を持ったってことで、ボクも貸してもらって読みましたが、たしかに面白いです。 |
伊丹堂: |
ふうん、中沢本ならワシも京都駅の本屋で買って、帰りの新幹線で読んだが、まったく意味不明じゃったぞ(笑)。 |
獏迦瀬: |
ひえ〜〜〜。た、たしかにポストモダンっつ〜か、なつかしのニューアカ的用語で装飾しまくった文章で…、ボクもこれで何を言ったコトになるのか、ちょっと疑問なとこもありましたが…。珠緒さんも言ってましたが、田辺さんの考えにはたしかに興味深いところがあると思いますが。
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伊丹堂: |
ふうん、で、田辺氏の本は読んだのかいな。 |
獏迦瀬: |
いえ、まだですが…。
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伊丹堂: |
あ、そ。読んどいた方がいいぞ。 |
獏迦瀬: |
そうですよね…。ひょっとして、この話の続きは田辺全集読んでからってことに…。
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伊丹堂: |
ちゅーこっちゃな(笑)。なにも全部読まずとも…、件の「種の論理」とか「懺悔道」くらいでいいんじゃないかの。
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獏迦瀬: |
それって、ボクにレポートせよとおっしゃってるんでしょうか(冷汗)。 |
伊丹堂: |
では次回は、その田辺哲学とやらを説明してくれたまえよ、獏迦瀬くん。 |
獏迦瀬: |
こんどはホームズですか…。ともかく図書館で借りて来ます。中沢本が売れて、借りられちゃってるかもしれませんが…。大学のは珠緒さんが借りてるだろ〜し。
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伊丹堂: |
だいじょうぶ、ワシが京都で買い付けといた。おいおい届くじゃろう。キミは常連じゃから安くしとくよ。 |
獏迦瀬: |
はれ〜。 |
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獏迦瀬: |
や〜、眠いっす…。
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伊丹堂: |
どうじゃ、田辺全集の方は、面白かろう?
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獏迦瀬: |
はい、もうハッキリ言ってハマってます。でもレポートの方はちょっとお待ちください。
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伊丹堂: |
ふふ、面白いとは言っても、まとめるとなるとなかなか大変じゃろう。
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獏迦瀬: |
そ〜なんです。それと実ハ、ひるますさんもあの全集読んでるんですが(笑)、なんか急に思い立っちゃって、件の「民主主義マンガ」の修正をはじめちゃいまして…。
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伊丹堂: |
田辺全集から民主主義マンガ…ずいぶん飛躍する男じゃなぁ…。いや内容的には飛躍でもないってのは、ワカルが、唐突じゃ(笑)。
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獏迦瀬: |
でしょ。それでもってそのアシスタントを頼まれちゃいましてね。あまり時間がとれないのです。
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伊丹堂: |
ふうん。で、その修正版はいつ公開する気なんじゃ? |
獏迦瀬: |
量的には1ページ増えるだけですから、たいしたことはないのです。明日あさってにはなんとかって言ってました(注:例によって遅れてます…)。そうだ、選挙といえば、千葉県知事に無党派の堂本さんが当選しましたね。これも「都市のコトワリ」の勝利ってことなんでしょうかね。
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伊丹堂: |
チバも都市になったかい…。それにしても投票率低すぎじゃ。ま、キミらもその「民主主義マンガ」とやらで、せいぜいガンバってくれや(笑)。 |
獏迦瀬: |
あれ、聞いてませんでした? ひるますさんは、修正版ついでに「続編」も作るなんて言ってましたが…。なんでも「参院リベンジ編」とか(笑)。 |
伊丹堂: |
なに…ひょっとしてワシが参院に立つってことになるんか?
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獏迦瀬: |
そ、それは…。 |